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インスペクション 仲介大手、準備は着々 ―先行サービスで手応え― 中小団体も周知を徹底

住宅新報 2017年3月7日号

インスペクションについて大体の骨格は定まってきたが、細かい点での詰めが残されていると前号で報告した。そうした中、実際にインスペクションを行うインスペクター、重要事項説明などを行う不動産仲介業者など業界の取り組みはどうなっているのか。施行まで1年余り、既にサービスを先行して対応可能な状態にしている業界もあれば、これから本腰を入れるという会社もある。そうした業界の動きを追った。

大手はサービス先行

実際に各社はどのように対応しているのか。不動産仲介大手会社は多くのところで、建物診断サービスを取り入れている。あくまで、取引の安心・安全を第一に、取り扱う物件の建物、設備の調査と補修サービスを行っている。

例えば、三井不動産リアルティであれば、昨年の1月からスタートした「三井のリハウス360度サポート」。築30年以内の自己居住用の戸建て、マンションが対象で、「雨漏り」「シロアリ被害」「建物構造上主要な部位の木部の腐食」「給排水管の故障」の4つの瑕疵について調査・報告。これに基づき認定した場合に、引き渡し後に判明した4つの瑕疵の補修費用を負担している。「現在は、こうしたサービスをしっかり行っていくことを第一に考えている。宅建業法上のインスペクションについて、詳細な内容が決まったらしっかり対応していく」(同社広報担当)。

東急リバブルも「リバブルあんしん仲介保証」を12年からスタート。専任・専属専任媒介契約を締結した物件についてインスペクション(建物診断・検査)を実施し、同社の定める基準を満たした場合、引き渡しから2年間、対象部位に不具合が生じた場合の補修費用を保証する。同社は建物検査機関のジャパンホームシールド(東京都墨田区)に委託してインスペクションを行ってきたが、16年10月から共同出資により、東急リバブルの売買仲介サービスでの建物検査・住宅設備検査を専門に行う「ファーストインスペクションサービス(株)」(東京都渋谷区)を設立した。宅建業法改正を見据えた対応で、建築士不足といった状況に陥ることなく、事業を順調に進めると共に流通を活性化させていく。

なお、講習を受けた建築士であっても、自らが取引の媒介を行うなど、利害関係のある場合には、売主・買主の同意がある場合を除き、インスペクションを行うのは適当ではない。いわゆる利害関係者の排除だが、不動産仲介会社がインスペクション事業会社に出資して資本関係にあるだけでは、ここでいう〝利害関係者〟には当たらないと解釈されている。

国土交通省不動産業課によれば、現状、改正法の「Q&A」をまとめている段階だが、地方で人員不足が危ぶまれる可能性があることや、建築士法の規制が働くので、前記したような建築士が直接媒介するといった直接的行為やそれに近い行為以外は利害関係者としない模様だ。

その他、住友不動産販売、野村不動産アーバンネットなど大手各社も同様のサービスを行っており、着々と準備は進んでいるようだ。

中小仲介会社は

中小仲介会社の動きはどうか。不動産中小事業者の団体で全不動産業者の80%を占める会員数を誇る全国宅地建物取引業協会連合会(伊藤博会長、全宅連)。全宅連は昨年、会員向けに「インスペクションと瑕疵保険」を分かりやすく紹介する『家本(インスペクション・瑕疵保険編)』を出版。会員にインスペクションの周知を図った。

また、首都圏既存住宅流通推進協議会など、各都道府県の宅建協会などで構成されている、インスペクション・瑕疵保険を中心とした既存住宅流通活性化への取り組みを行う協議会が全国で9つ結成されており、活動している。

更に、ハトマークグループのハトマーク支援機構では、ジャパンホームシールド、住宅保証機構、リニュアル仲介と提携、ワンストップ対応のサポートサービスを始めている。伊藤会長は年頭、「地域に寄り添い、生活サポートのパートナーである皆様の経営基盤の強化・業務支援を展開していく」と述べており、インスペクションの周知も優先的に行っていく。

全日本不動産協会(原嶋和利理事長)は昨年4月から、同協会会員向けにインスペクションサービスを開始している。ジャパンホームシールドと業務提携し、建築士などによる既存住宅インスペクションガイドラインに準じた検査実施、報告書の作成を行い、一定の基準を満たした住宅には瑕疵保険を付保するサービスを提供している。

「分かりにくい」

しかし、個々の会社に聞いてみると反応は違ってくる。「国交省の説明会に参加したが、今ひとつ理解しきれない」(不動産投資会社)。「地方では建築士がおらず、工務店などでも宅建業法上のインスペクションができるようにしてほしい」(地方工務店)といった声が聞こえる。

日本ホームインスペクターズ協会の長嶋修理事長は、「国交省が枠組みを考える以上、建築士にインスペクションを任せることは想定できた。ただ、講習については半日とか1日では不足だ。数日間の講習や更新講習の必要性がある。協会では、インスペクターの事例研究会を行ったり、各インスペクターが行った診断報告書をオンラインで確認するなど多くの知見を共有する仕組みがある。こうした知識、経験がたまるシステムが必要だ」としている。

また、インスペクションの普及についても、「売主がインスペクションを行い、瑕疵保険も付けることで、安心・安全な流通を目指すのが国の考え方だろうが、果たして、そこまでする売主が多く出るだろうか。米国のような買主がインスペクションを行う仕組みも考える必要がある」と、疑問を呈した。

改正法施行まで1年余り。これからも様々な動きや変更などが出ることが予想されるインスペクション。常に目配りをしていく必要がある。

 

 

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