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民法改正の影響――(上) 20年施行に対応するために知っておくこと 〝瑕疵〟が消えた効果 個人保証は大きく減少か

住宅新報 2017年5月23日号

09年、当時の民主党政権時代に法制審議会に改正を諮問された民法改正案。紆余曲折を経て、ついに17年4月14日、衆院本会議で賛成多数で可決し、参院に送付された。参院での審議を経て、この通常国会中に成立することは確実。8年の歳月を経て、当初の形からはいく分変化した改正案だが、社会的に多くの影響が考えられるため、周知期間を経て施行は20年ごろとなる。改正案が成立する前に、今一度、民法改正案について知っておこう。

今回の民法改正案は、消費者保護の面であるとか、旧来の雑多な法令を整理したとか様々な側面があるが、従来の「債権債務を中心とした解釈の世界から、契約を中心とした思考様式の移行」(吉田克己早大大学院教授)が挙げられる。その最も代表的な改正項目が、瑕疵担保責任から契約不適合責任への変化だ。

これまでは売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対し、契約解除と損害賠償ができるとされていた。この部分について、改正法案で論議されたのが、「瑕疵」という言葉だ。中間試案によれば、瑕疵という言葉が法律の専門家以外の人にとっては難解だと言うことに加えて、場合によっては物理的な欠陥しか思い浮かばない可能性があるということで、不適切とされた。

悪意の買主も主張可

代わりに使われた概念が、「引き渡された目的物が契約の内容に適合しないものである場合」というものだ。このことにより、現民法では、「隠れた」瑕疵であることが要件だが、改正民法では、目的物に必要な性質が備わっていないということが問われて、隠れたものであるかは要求されなくなった。つまり、表に表れている欠陥も対象になるということだ。

また、これまでは買主が瑕疵があることについて善意無過失であることが要件とされていたが、今後は買主がそれを知ることができたとしても、売主が本来履行すべき債務を履行していないことには変わりないので、これも要求されない。「隠れた瑕疵」という文言を排除しただけで、こうした効果が生み出されている。

「契約不適合」により、生み出された効果は他にもあり、契約の内容に適合しないものを引き渡したのなら、期間を定めて追完(追って完成させろということ)の催告をし、その間にできないときは、その不適合の程度によって代金減額を請求できることにした。つまり、これまで瑕疵担保責任では、契約の解除と損害相性責任しか買主側が出来できなかったのが、代金減額請求や修補請求も行えるようになった。

さて、瑕疵から、いわば債務不履行の概念に変化した改正法が実務に与える影響についてだが、既に契約で対応している事業者が多い。

渡邉不動産取引法実務研究所の渡邉秀男氏によれば、「契約実務や訴訟では、既に取り入れられている考え方で、有力な学説の一つともなっている」とのこと。問題は、契約内容に適合したものを引き渡すにはどうすればいいかということ。物件調査や告知書、重要事項説明書の重要性が増すものといえる。

次は「保証」だ。今回の改正で連帯保証制度は、事業用の融資などで第三者が個人で保証人になる場合、公証人による意思の確認を必要とすることにした。

「根保証」(今週のことば)も改正された。現行の根保証に関する規定を個人にも適用することとし、保証人の保証債務の「極度額」を定めることにした。保証人の責任には、債務元本のほか遅延損害金など一切の債務が含まれるため、これを保護するために「極度額」を定めない限り、契約そのものが無効になる。

そして、この根保証は建物賃貸借契約における保証が該当することで、賃貸管理業者に大きな影響が出ることになる。契約時に、家賃何カ月分という極度額を定める必要が出てくるからだ。今回の改正で、建物賃貸借契約における個人保証は減少し、家賃債務保証会社による保証が増加すると思われる。

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