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既存住宅インスペクション 国交省・ガイドライン最終案 事前の『説明』を重視 「トラブル防止」目的で追加

2013.04.30 住宅新報 1面

 

国土交通省は4月26日、既存住宅インスペクション・ガイドラインの最終案をまとめた。既存住宅の取引時における利用を前提とした『基礎的なインスペクション』を対象としたうえで、共通して実施されることが望ましい検査項目や方法、実施手順や担い手の資質に関する事項などを記載。若干の修正を経てパブリック・コメントを実施し、5月中に取りまとめる予定だ。

共通検査項目など示す

案は冒頭部分で、インスペクションの内容について「劣化事象などを目視を中心とする非破壊検査で把握し、その結果を依頼主に報告すること」と定義。検査項目は既存住宅の性能評価と瑕疵保険の検査基準を準用し、戸建て・共同住宅(専有部)共に「構造」と「雨漏り」、「設備配管」で確認される劣化事象とした。 担い手に求められる能力の目安としては、建築士などの国家資格や実務経験、関連団体に委託したうえで、今後実施予定の講習の受講が記された。併せて、順守すべきルールも提示。「客観性・中立性の確保」に主眼が置かれ、兼業の状況や、関連事業者からの金銭的利益を受けないといった項目が並んだ。

また、検査ミスや情報提供の不足に起因するトラブルを防ぐ狙いから『適切な説明』を重視。事業者や検査の内容・結果についての留意点などを、『重要事項』として、業務受託時や報告段階で説明することを手順に加えた。この重要事項に関しては、消費者が事業者選びの参考にできるよう、ホームページなどに掲載することも盛り込まれた。

これまでの検討の過程では、「どこまで精緻な検査を行うか」という点で意見が割れる場面が何度か見られたが、最終的に『売買時に行われるインスペクション』という前提に基づき業務内容を限定。劣化事象の原因究明や性能判定などは対象外となった。なお、リフォーム工事費の目安に関する情報や、瑕疵に対する保証の提供などは、『付随的に行うサービス』として、補足説明されている。

「屋上防水」巡り議論 管理組合の承諾必要

一方、同日に開催された第4回検討会でも、共同住宅の共用部に関連する項目に対して意見が出た。対象住戸が最上階にある場合に「屋上防水も検査対象に含む」と記載された部分だが、それを実行するには通常、管理組合の承諾が必要となる。そのため、長嶋修・日本ホームインスペクターズ協会理事長が「(ガイドラインで)規定してしまうと、流通の阻害要因になりかねない」と懸念を示した。早川博・住宅瑕疵担保責任保険協会代表理事も「大規模修繕工事を控えた管理組合では、承諾をもらえないことが多い」と話し、経験を踏まえ難しさを指摘。事務局ではこの項目について、現行のまま注釈を加えるか、補足欄に移行するかを詰め、修正を加える考えだ。   (鹿島 香子)

調整難しい取引現場 「保証付き」で売主に提案 仲介業者にもメリット

一方で民間では、インスペクションの潮流に変化が生じ始めている。

現状では、インスペクションの依頼者は買主が中心とみられる。03年に設立されたアネストブレーントラスト(東京都渋谷区、荒井康矩代表)も、購入検討者を主な顧客とする1社だ。

同社によると、08年頃から既存住宅のインスペクションの依頼が増加。現在は案件全体の約3割を占め、件数も毎年増えているという。目視で調査可能な範囲を基本プランとするほか、『防犯・安全性チェック』、インスペクション前の『住宅ちょっと相談』といったオプションのプランもそろえ、幅広い要望に対応する。

ただ荒井代表は、住宅購入検討者から依頼があっても、その仲介業者とのやり取りが「常に『壁』になってきた」と吐露する。

インスペクションの導入に当たっては当事者間の日程調整などが必要だが、仲介の現場は『スピード勝負』。商談が長期化すれば、それだけ同業他社が先に客付けしてしまう機会が増えるためだ。また、検査の実施を受け入れても、仮に不具合が見つかれば、買主が購入意思を取り下げてしまう懸念もある。こうした理由から、インスペクションを取引の阻害要因とみなす風潮が少なからずあるようだ。

一方、保証と組み合わせることで、インスペクションを仲介業者にとってのメリットに変えたサービスも生まれている。

性能評価機関の既存住宅保証センター(東京都新宿区)が展開する『中古住宅みらいえ』は、既存住宅瑕疵保険に基づくサービスだ。

まず、取次店として加盟する仲介業者が、専任媒介を締結する特典として売主に同サービスを提案する。申し込み後はセンター経由で検査員が派遣され、瑕疵保険に係るインスペクションを実施。適合判定が下りると、保険に加入できる準備が整う。加入後は、主要構造部などの対象部位に生じた不具合の補修費用が引き渡しから5年間、1000万円まで賄われる。

インスペクション済みであり、更に保証が付いていれば、買主の安心感が増すと考えられる。それは立場を変えると『売りやすさ』と捉えることもでき、売主にとって、このサービスを提供する仲介業者を選ぶ、インセンティブになり得る。

インスペクションの普及に向けた突破口を、直接の需要者の『反対側』から開いたと言えそうだ。

診断結果に掛かる期待 担保評価の参考にも

ガイドラインの策定は、国交省が12年にまとめた『中古住宅リフォーム・トータルプラン』、『不動産流通市場活性化フォーラム』の提言を受けて持ち上がった。

中古流通を促進させる重要施策に位置付けられていながら、現状ではインスペクションに関する統一的な基準は存在しない。リフォーム業や仲介業など多様な業種に従事する担い手が、それぞれの事業目的に沿ってサービスを展開しているのが実態だ。ガイドラインには、現時点で一般的と考えられる基準をまとめて共通認識の醸成を図り、健全な市場形成につなげる狙いがある。

これまでの検討会で示された資料を見ると、「中古の購入を選択しない」理由として品質や性能に対する不安を挙げた回答が目立つ。質を把握する手段として、こうした層の『翻意』を促すことが、インスペクションの使命の1つだ。

更に、需要者として想定されるのは一般消費者だけではない。銀行による、担保評価の参考資料としての活用にも期待が寄せられている。

日本では一般的に、住宅の資産価値は築年数の経過に伴い一律に下落する。この事実が、築後20、30年経った時に多くの所有者が建て替えを選択する一因とされてきた。また、価値の下落が前提である以上、手入れをするインセンティブが働きにくいため、今後の良質なストック形成の妨げにもなりかねない。

こうした背景を踏まえ、国交省では3月に『中古住宅の流通促進・活用に関する検討会』を設置。「中古の品質・性能が金融機関の担保評価に適切に反映されること」を目指す方針が明記され、その手段の1つとして、『インスペクション結果』が挙げられている。

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